レイチェル・ボッツマンが提唱する、カスタマージャーニーとコラボ消費(G-Force)

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レイチェル・ボッツマンG-Forceでは、基調講演のスピーカーとして最近話題性の高いライターであるレイチェル・ボッツマンが登壇しました。ボッツマンは、コラボレーションのパワーを唱える世界的なリーダーであり、デジタル技術を用いたシェア(共有)の在り方や、私たちの生活様式、仕事、消費行動の変化について話をしてくれました。雑誌“TIME”では、ボッツマンが唱えているコラボ消費を「世界を変える10のアイディア」と評しています。

「コラボ消費」の新時代に、カスタマージャーニーはどのような変貌をとげつつあるのか?レイチェル・ボッツマンとのQ&Aがそのヒントになるかもしれません。


Q. 貴著「“What’s Mine is Yours: How Collaborative Consumption Is Changing The Way We Live(邦題:シェア(共有)からビジネスを生みだす新戦略)」は、グローバル経済の景気後退が見られた2010年に出版されましたね。出版以来、世の中の消費者行動に顕著に表れた動向を教えてください。

A. 書籍に書かれているコンセプトやアイディアが登場した時、不況の時代そのもの、あるいは節約志向になっている消費者が反応しているにすぎない、ととらえた人たちもいました。このアイディアが、既存のプラットフォームとユーザーの行動に馴染んで変わっていく様を把握することは大変でしたが、まさに今日、そのアイディアが現実化し始めていますね。コラボレーティブ経済が可能性を秘めていることを実証したビッグゲームチェンジャーは、特にモバイルの急激な普及などの“技術シフト”であることが分かります。今や車の座席から自宅の部屋や活用されていない人材スキルに至るまで、あらゆる種類の余剰資産を他人に解放することが可能になりました。特に輸送、接客・サービス業、公共事業は、変革するに値する、大きな可能性を秘めた業界です。

Q. コラボ経済の観点での顧客体験ということになると、企業にどんな商機があって、どんな分野へのアプローチが可能だと思われますか?

A. 顧客はもはや受け身な消費者ではなく、商品やサービスを提供する立場でもあり、マーケットプレイスでは双方の立場を行き来しています。購入や販売の行為だけでなく、お薦めやレビューの書き込みによって他者に影響を与えています。昨今のビジネスは、「顧客」とエンゲージする新しいやり方について改めて考える必要に迫られています。私たちが顧客を、「ソーシャル上の評価の重要性を分かっている人」と認識する時代に既に入っているためです。今日では、新たなサービスを開発し、個人単位での取引や体験をシンプルにするプラットフォームを使うユーザーとエンゲージするのに、非常に多くのチャンスがあります。

Airbnbの事例は一見レンタルスペース事業の成功と見られがちなのですが、その実態は、顧客の旅行経験をトータルでサポートするものとなります。まさしく、完全なるカスタマージャーニーと言えます。Airbnbのある町でのエコシステム全体について考えてみてください。世界中で行きたい場所を決めて、位置を確認しますよね。空港から目的地への移動手段、着いたときに何をすべきか、なども然り。Airbnbは、ゲストの体験に焦点を当てて、あらゆる顧客からフィードバックを収集し、宿泊が終わった頃に、顧客にホストオーナーについての評価を依頼しています。このフィードバックの仕組みを回したのち、オーナーは、顧客体験価値の源泉および提供のカギが自分自身にあることを理解したのです。

ですから、今やこのプラットフォームおよびシステムは、ホストがこれまでの反省材料を活かして、次に素晴らしい顧客体験のサービスを創るのに欠かせない重要な手段なのです。顧客がAirbnbに問い合わせをしてきたときから、滞在中はもちろん、旅行後の顧客フィードバックに至るまでのカスタマージャーニーをサポートする手段と言えます。

Q. 複数チャネルでのインタラクションが把握可能な、顧客から見た多面評価の視点について教えてください。

A.  皆さんが企業の窓口とやりとりした時に、カスタマーサービスとのコミュニケーションや顧客体験が断片的なものだったり一貫性の無いものだったという経験は、数多くあることでしょう。企業側は、個別のコミュニケーション・チャネルごとに独立した個別の技術を用いて優れた顧客サービスを開発するかもしれませんが、分断された個別の要素が相互に有機的に結びつくことはないのが実状です。顧客はカスタマーサービスとの電話口で不満がたまり、ソーシャルメディアにも何らかの書き込みを行うものの、結局はライブエージェントを頼みの綱とします。しかしながらライブエージェントの多くは、やりとりの文脈やこれまでの経緯を知らないケースが大半です。

Q. 次にイノベーションが起こるのは、どの業界だと思いますか?

A. 金融サービスの業界は成熟市場であるものの、大いにイノベーションが起こる可能性があります。なぜなら複雑な顧客体験、信頼関係の低下、不必要な中間プロセスが発生しているからです。Australia Postやフェデックスなどの物流も然り。何故なら、多くの人々にとって出荷は摩擦点のようなもので、需要と供給曲線の交点である均衡価格が決定したとき、イノベーションが起こるからです。教育はまた、これまで一部の学術機関内でのみ継承されてきた学問や知識を解放する絶好の機会を備えた、成長の余地が十分にある分野です。

Q. コラボ経済の次のステップでは、顧客体験のエキスパートや専門家は、何に焦点を当てるべきでしょうか。

A. 私の次の本は共同思考をコンセプトとして書いています。これは、コラボ経済の基本を知るには丁度良い書籍かと思います。ここでは新規事業立ち上げの必要性を述べているのではありません。将来のコラボ経済をベースとしたビジネスの種は、皆さんが人とのつながりを意識し、人を巻き込んで何かやるという視点を持つことで見つかり易くなります。
多くの企業は、どうすればコラボ経済に参加できるかについて苦戦しています。デザインも似ていますよね。皆さんは問題解決方法を創造的に考える「デザイナー」である必要はありません。また、複数名で一緒に思案する「協調的革新者」である必要もありません。あくまでもコラボ経済時代であるという意識と、人とのつながりの視点を持つことにあります。


【参考】 ビジネス白書 - 収益力アップ、競争力強化に直結するカスタマーエクスペリエンス(CX)
http://www.genesys.com/jp/about-genesys/resources/economic_imperative_cx

 


当ブログは、ジェネシス社 Rachael Roydsのブログ記事をもとに編集したものとなります。
Read Botsman’s latest article on collaborative thinking in Harvard Business Review: Sharing is not just for start ups. Follow her on Twitter @RachelBotsman or visithttp://www.rachelbotsman.com/ for more information.
Follow this author Rachael on Twitter @RachaelRoyds

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