チーフ カスタマー・エクスペリエンス・オフィサーが求められる時代

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CX リーダーCX(カスタマーエクスペリエンス)に関する企業戦略と経営者の関与に関するエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)による調査記事やブログの投稿、記事を多くの方がすでにご覧になっているかと思います。それらの記事や実際の調査レポートを読んで私が感心したのは、このレポートが包括的にポイントをとらえている点でした。

私は、ジェネシスのカスタマーサクセス分野の責任者として、常日頃からチームメンバーには、お客様の視点を持ちながら、自分の業務目標を達成するように指示をしてきました。しかしながら実態は、そのようにはなっていません。エコノミストのレポートによると、全世界で組織的にCX戦略を推進しているにもかかわらず、依然としてCXプログラムそのものあるいは責任者に対する認知度にバラツキがあることが報告されています。


CXの責任者は一体、誰なのか?

明らかなのは、カスタマーエクスペリエンスが今話題の用語であるのに対し、CXの「オーナーシップ」「リーダーシップ」はあまり認知されていないという点です。そのため、CXのオーナーシップは、例えるならば未知の海域を渡航しているようなもので、まだ手さぐりな状態にあります。必然的にCX担当者はまだ独自の見解を持ち得ないため、自社の経営幹部の意見に依存しているのが実状です。

エコノミストの調査によると、最高経営責任者(CEO)の72%が「自身がCXに責任を負っている」と回答している一方で、経営幹部の27%がそのようにはとらえていません。また、約3分の1(32%)の調査回答者が、自社のCX担当者の位置づけに近いのは“最高情報責任者(CIO)”、残りの3分の1(35%)は“最高マーケティング責任者(CMO)”だと回答しています。これらの統一感の無い認識は、経営陣から一般社員、さらには顧客までをも混乱させてしまう可能性があります。「私が担当です。いいえ、あなたではなく、私たちが担当です」など、企業や立場によって異なった回答が返ってきます。

一方では…

おそらく、企業は現在のCX担当者ありきではなく、「今後誰がCXをリードすべきか」という視点で組織の体制を組み直す必要があります。さらには、CEO、CIO、およびCMO間で綱引きをする代わりに、“カスタマーエクスペリエンス責任者(CXO)”を任命して権限を持たせるべきです。企業は兼務ではなく専任のCX担当者を配置することで、質の高いCXを戦略的に企画し、実行に移すことが出来ます。

では、新しい役職であるCXOが設置されることで、企業内に新たなサイロが形成されるのでしょうか?そんなことはありません。本質的には、CXOのCは“カスタマー”のCを指します。CXの取り組みにおいて、顧客が最優先事項です。もちろん、企業内のあらゆる部門が顧客志向であるべきですが、特に管理部門では、設備投資・維持、従業員の管理、ITインフラや社員用PCへの投資など、これまでの企業内活動の効率的な実務が優先事項になりがちです。これとは対照的に、CXOは顧客、さらにはCXのプログラムや取り組みに集中することができる役割を担います。CXOはどちらかといえば、企業の職能別組織を横断し、全部門の共通の糸のような存在として位置づけられると考えられます。

企業内に専任のCXO配置検討を

全員が担当者であるということは、責任者が不在であることと同じです。たとえば、企業の調理場にあまりにも多くのCXの料理人がいてリーダー不在だとすれば、指揮命令が機能しないため、混乱することは必至でしょう。足並みが揃っていない企業と取引・やりとりを続けた結果、不利益を被るのはたいていは顧客です。さらには業種や地域を越えて、このような不利益・ストレスを受ける顧客が増えていくと、いずれ顧客は他社ブランドにスイッチする可能性が非常に高くなります。

また、CXのオーナーシップの体制をいくら新しくしても、その位置づけが曖昧なものであれば、長続きしないのはもちろんのこと、経営幹部が権限と責任を持ってCXプロジェクトを動かすことも不可能です。エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)による調査結果が示しているとおり、正式なCXOが責任者として設置されない限り、遅かれ早かれCX関連の問題が社内外で発生する可能性が高まります。このことは、皆さんも認識され始めていることと思います。

専任CXOの創設

CXOという新しいポジションを設置し、企業に根付かせるにはどうすればよいでしょうか?

それは案外、簡単かもしれません。まずは、CXO設置に掛る上申書を作成することから始めてみてください。カスタマーエクスペリエンスの視点を持つことに加えて、顧客と企業双方にとって、CXOの設置によって得られるメリットに気づくことでしょう。それらには、明確に定義された企業のCXへの責任、CXへの予算および権限や、必要なリソースが含まれます。さらには、経営陣によって企画された、乏しいCXプログラムの失敗責任の押しつけ合いやプログラムの頓挫などがなくなります。最後に、最も意義のある点は、さまざまな顧客を継続的に獲得しながら、カスタマージャーニーがどのように管理されているか、深く理解できることにあると考えます。


ここで、EIUが実施した、グローバル企業におけるカスタマーエクスペリエンス(CX)プログラムの管理についての、調査報告書をご紹介します。現在および近い将来、デジタル時代に対応したCXにどのように取り組んでいけば良いか検討中の経営者、マネジメント層のかたのお役に立てれば幸いです。

「顧客経験価値の重要性:デジタル時代のカスタマーエクスペリエンスに対する経営者の意識」

上記調査報告書の要約箇所を、図を用いて分かり易くしたインフォグラフィックはこちら。1ページで全体像が把握いただけます。

「デジタル時代のカスタマーエクスペリエンス」

 

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