2016年のカスタマーエクスペリエンス、3つの予測

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マライアン・テ・ブージ2016年も2ヶ月がたとうとしていますが、今年のCXの動向を予測してみたいと思います。

私自身の専門分野「技術の活用によるカスタマーエクスペリエンスの改善」に関して、私は毎年、年末に自らのふりかえりを行い、それを基に翌年の予測を立ててきました。スマートウォッチやモバイル決済の台頭など、実際、2015年には興味深い技術発展がありましたが、その一方でシリコンバレーでは常に多くの可能性を秘めた新たなテクノロジーが出現しています。そして、モノのインターネット(IoT)が再びムーアの法則通りに進展している中、ハイテクとCX(カスタマーエクスペリエンス)が今までにないほど深く融合される可能性に期待するなと言うほうが無理でしょう。

では、前置きはこれくらいにして、2016年に企業がアンテナをたてておくべきカスタマーエクスペリエンスに関する3つの動向予測をお伝えします。

  1. 生きたデータの活用

ここ数年間、“ビッグデータがビジネスの未来を変える”という声が高まっています。これは、データ証跡を残す多くの取引やインタラクションを分析することで、業績改善の打ち手をデータから発見することができるようになってきているためです。しかしながら、これまで別々に管理されていた「データ収集」と「データ分析」を統合しリアルタイムのフィードバック創出を実現することで、2016年中にデータ活用はまったく新しい段階に突入すると考えられます。その結果として、より効率的な事業運営と、的確にターゲットを絞ったマーケティングが可能となり、より直接的でパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスがもたらされます。

Apple Watchを利用することで、ユーザーはボタンを押すだけで、心拍数や消費カロリーに関する自分のデータを分析することができます。そして年々精度が高まっているGPSを利用することによる、「iPhoneによる個人の移動場所の追跡」という現実を考えてみてください。

つまりこのGPSデータにより、Siriへの質問やYelp検索においてローカライズされた情報がユーザーに提供されるのです。しかし、10代から20代までの幅広い世代がVenmoなどの送金アプリでの支払い同様に、自身の健康/フィットネスデータを共有することを厭わなくなったらどうなるでしょうか? 地元のレストランがApple Watch利用者を対象とする特別キャンペーンを実施して、その日のフィットネス目標を達成したユーザーに、限定の割引や、プレゼントクーポンをテキスト送信したらどうでしょう?顧客側で iBeaconが有効化されていれば、iPhoneユーザーがスーパーマーケットの商品を閲覧したとき、カロリー制限に関する通知を送信することもできるでしょう。

ここでお話する想定シナリオはほんの一例に過ぎませんが、全体像を思い描いていただくには十分でしょう。オンラインとオフラインの両方でお客様の行動履歴や関連データが記録、生成されるにつれ、受け皿としての高性能のソフトウェアは、益々多くの有用なデータを収集し分析するようになります。そうしたデータはほぼ瞬時に新しいカタチでお客様にフィードバックされ、カスタマーエクスペリエンスをさらに進展させ、改良されていきます。2016年には、生きたデータが活用され始めるでしょう。

  1. 顧客エンゲージメントにおける大きな役割をAIが担う時代

全てが成功例ではないにせよ、 カスタマーエクスペリエンス改善に向けたAmazonの多大な努力には私自身も頭が下がる思いです。2014年夏に公式発表された同社の新しいAI(人工知能)、家庭用音声アシスタント端末「Amazon Echo」もその例外ではありません。この端末には、Siri、Google Now、Cortana同様にスマートで、日一日とさらに多くの事柄を学習していく能力があります。消費者のデバイスとしてこれほどインテリジェントなクラウドベースの「パーソナルアシスタント」は、私も今まで目にしたことがありません。音楽を再生し、こちらからの質問に答え、スマートホーム・デバイスを制御し、そしてAmazonでのショッピングをサポートします。著しく正確な自然言語プロセスが備わっていることで、ユーザーは簡単な呼びかけを行えば良いという仕組みです。しかしながら、このAmazon Echoの音声アシスタント「Alexa」も、米国の人気クイズ番組ジョパディ!でチャンピオンの座を射止めたIBM Watsonの方がさらに上をいっています。

ジェネシスはIBM Watsonチームと協力し、このワトソン(AI)のコンタクトセンターでの活用を目指し、開発に取り組んできましたが、見通しは非常に有望です。巨大なボリュームの非構造化データを迅速に処理する能力を備えるWatsonは、データベースを高速に検索して、どんな生身の電話担当者よりもはるかに速くお客様の質問に応答することができます。

つまり、企業の自社ウェブサイト経由で入る問い合わせを処理する上で、IBM Watsonは「最適な電話担当者」となり得るのです。既にIBM Watsonはさまざまな企業と共同開発や製品連携の実績があることより、お客様とのオンライン・ライブチャットなど現在人が担当している多くのコンタクトセンター業務をこうしたAIに置き換えることができるのは明白です。当分の間は、より複雑で難易度の高い問い合わせに対応するためには人が必要となるでしょう。しかし、今後徐々に機械がコンタクトセンターのチームメンバーに置き換えられていくのは確実です。

学習をし続けるAIはますます ”会話上手” になり、日常生活にさらに統合されていくことでしょう。2016年には、より多くの顧客エンゲージメントが、“Siri”または“Alexaという呼びかけで始まることになると予測されます。つまり、その実用性が単なる目新しさを追い越すときが来ているのです。

  1. 統合されたカスタマーエクスペリエンスに向けたモバイルの進化

最後の予測として、当たり前すぎて見過ごされがちな点について強調しておきます。CX階層においてモバイルの重要性が増しているということです。今日、全人口の半数近くがスマートフォンを持ち歩いています。今年は、利用者のモバイル体験はますます充実したものになり、新しい統合形態で展開されていくことでしょう。

モバイル決済の先駆者であるスターバックスにわずかに遅れ、Apple PayによりiPhoneでの店舗内決済が実現したのはわずか1年ほど前の出来事ですが、今日ではモバイル決済が急増しています。SiriやGoogle Nowの台頭と同様、ポータブル・デバイスをどこでも手軽に持ち運べるという大きな価値を企業が認識したことで発生した、当然の結果と言えます。デジタル・ウォレット、情報とエンターテイメント・プラットフォーム、GPSナビゲーションツール、そして音声、テキスト、ウェブ、ネイティブアプリ、電子メール、ソーシャルメディア、ビデオといった主要な顧客エンゲージメント・チャネルが一つの筐体に納まっているのがスマートフォンです。

あらゆるエンゲージメント・チャネルを備えている「スマートフォン」は、消費者に最も身近な小型デバイスで、お客様との主要なコミュニケーション手段となっています。従って、2016年はいやおうなしにスマホありきの顧客サービス対応を行う企業数が増加することで、こうした傾向がより高まるでしょう。その結果、モバイルでのアクティビティを反映したカスタマージャーニーを組み込んだビジネスが増えていくことでしょう。お客様のモバイル体験を快適、便利なものに進化させたいのであれば、絶好のタイミングがやってきています!

また、自社店舗でモバイル決済を実施したいのであれば、スターバックスに倣ったロイヤリティプログラムを構築、導入すればよいのです。利用者に対しては、クーポンなどを添えて領収書を自動メール送信することができます。ソーシャルメディアで楽しくワクワクするような顧客体験記事を投稿してもらえるように、お客様にインセンティブを提供することもできます。また、最適化されたスピーディーなモバイルアプリを開発すれば、ユーザーはグラフィカルなメニューを通して、来店前に購入手続きを済ますことができます。さらにビーコン技術を利用できるのであれば、利用者が店舗の前を通りかかったときに個人を認識し、特別クーポンをテキスト送信することもできます。

ウィリアム・ギブソン(William Gibson)の言葉を借りれば、「技術はすでにあるのです。ただ、まだ均等に統合されていない」だけなのです。私自身の希望を述べれば、年内に上記予測がすべて同時に発生することで、モバイル用に最適化されたコンピュータによるデータ駆動型のカスタマーエクスペリエンスが実現し、技術の結集によってお客様が“個客対応を享受している”と感じることができる最高のCXがもたらされることです。

さてさて、皆さんの2016年のビジョンはいかがでしょうか?


最新のカスタマーエクスペリエンスの詳細については、以下をご覧ください。

ベストプラクティスで学ぶ、シームレスなオムニチャネル対応のCX
http://www.genesys.com/jp/about-genesys/resources/seamless-omni

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About Merijn te Booij

Merijn te Booij is the chief marketing officer at Genesys. As CMO, Merijn leads the global marketing and product management organization. He is responsible for developing and executing the company’s technology vision, product strategy and go-to-market strategies to drive continued business growth and brand awareness. Merijn joined Genesys in 2000 as a sales consultant for its Europe, Middle East, and Africa region. Prior to his current role, he served as vice president of professional services, creating and leading the Genesys Business Consulting practice. Prior to Genesys, Merijn gained extensive experience in running contact centers, having managed contact center operations for the Dutch Automobile Association in Holland. Merijn holds a master’s degree in international law from the Rijksuniversiteit Utecht in the Netherlands.