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ハイパー・パーソナライズ1951年のミュージカル「王様と私」で、ロジャース&ハマースタインの「知れば知るほど(Getting to know you)」という曲がブロードウェイの観客を魅了しました。主人公のアンナは、シャム王の子供たちと友好関係を築こうと、この歌を歌います。それから65年、パーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスの実践により、顧客を“知れば知るほど“、キメ細やかなサービス提供が可能になることが実証されました。「ハイパー・パーソナライゼーション」のコンセプトの台頭理由が、ここにあります。

プロファイリングとパーソナライゼーション

現在のインタラクションが、より「ハイパー・パーソナライゼーション」に近づくことを、多くの企業が新たな目標に掲げています。しかしながら、「ハイパー・パーソナライゼーション」の意味を誤って理解している場合が見受けられます。従来の「カスタマー・プロファイリング」は、昨今の「“個客”向けにカスタマイズされた、カスタマージャーニー」と混同されるケースがあります。

この混同は、「プロファイリングとパーソナライズがいずれも、より良いカスタマーエクスペリエンス(CX)を提供可能なペルソナ(顧客像)を作成できる」という事実からきています。しかしながら実態は、ハイパー・パーソナライゼーションを通じて設計したペルソナは、顧客の購買/行動履歴やリアルタイムのコンテキスト(文脈)を使用して決定するため、ペルソナの精度が非常に高くなります。これにより、単なるプロファイリングでは掴めなかった顧客の詳細情報を把握し、ターゲットユーザーに合わせたコンテンツや製品、サービスを提供することが可能になります。

たとえば、「チャールズ」と「オジー」はどちらも1948年、イギリス生まれの男性です。二人とも2回以上結婚していて、子供は二人以上で城に居住しています。プロファイリングを拠り所にしている企業は、この二人が非常に似ていると判断し、その類似性に基づいて同レベルのサービスを提供することになります。これとは対照的に、顧客の履歴とリアルタイムのコンテキストを活用した、ハイパー・パーソナライズされたCXを提供している企業は、一方の顧客がチャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)であり、もう一方の顧客がオジー・オズボーン(自称プリンス・オブ・ダークネス)であることが分かります。チャールズ皇太子とオジー・オズボーンには顕著な類似点があるものの、イギリスの王位継承者とヘビメタのロッカー歌手とでは社会的に非常に大きな違いがあります。「ハイパー・パーソナライゼーション」であれば、これらの違いを識別した上で、速やかに対策を講じることができます。

ハイパー・パーソナライゼーションの達成

ハイパー・パーソナライゼーションは人文科学的なものであり、この実現には、デジタルチャネルと音声チャネル双方におけるコンテキストおよび情報共有が必要となります。最初のステップは、チャネル、部門、顧客のライフサイクルの縦割り(サイロ)を解消してオムニチャネルの体験、ジャーニー、関係性をサポート可能な、カスタマーエクスペリエンス・プラットフォームの導入です。

UPMC(ピッツバーグ大学医療センター)Health Plan社の例をご紹介しましょう。この医療法人では「縦割りの解消」こそが、メディケア・アドバンテージ(Medicare Advantage)加入者にハイパー・パーソナライズされたサービスを提供するための前提条件でした。同社は、これらの患者(主に高齢者や認知障害がある患者)に、メディケア・サービス、保障内容、および処方薬代を案内する際に、特別なサポートが必要であると認識していました。

この手厚い「特別なサポート」を実践するため、UPMCはジェネシスのカスタマーエクスペリエンス・プラットフォームを導入しました。このインフラ導入により、画期的なコンシェルジュ・プログラムが開始されました。このプログラムは、それぞれの加入者に専任の医療コンシェルジュを割り振り、加入者からの問い合わせを自動的に受け付けるものです。コンシェルジュは加入者に向き合い、日頃の医療ケアで感じているギャップについて話し合うほか、受診予約のアシスト、保険給付の変更通知など、加入者向けに最適なパーソナライズド・サービスを提供します。また、保険給付サービスを認識していない加入者のために、保険給付についても加入者とプロアクティブに情報を共有します。興味深いことに、UPMCがこのプログラムを実施して加入者への発信を増やしたことで、最初の1年間で受診件数が27%減少しました。一方、FCR(初回問い合わせの解決率)が96%増など、主要業績評価指標(KPI)が大きく改善されました。

UPMCに関するパーソナライズド・サービスまでのさらに詳しい道のりについては、こちらをご覧ください。

顧客の期待が年々高まる中、競争力を維持しビジネスバリューを出していくために、「パーソナライズされたカスタマージャーニー」の重要性が増大しています。そのためには、適切なテクノロジーを選定、導入し、チャネル間の情報およびコンテキストの共有を行う必要があります。つまり、次世代のカスタマーエクスペリエンスに対応したインフラを導入することで、現代のような“ハイパー・パーソナライズ”な時代であっても、安定した事業基盤を築くことができます。

パーソナライズされた顧客サービスの詳細については、eBook「コンタクトセンターを進化させるためのエッセンシャルガイド」をご覧ください。

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Tetsuya Saito

Tetsuya Saito

ジェネシス・ジャパン株式会社 マーケティング本部部長。 2000年ジェネシス・ジャパン入社。広報/PR、セミナー、展示会、Web、制作物などマーケティング活動全般を統括し、ジェネシスのビジョンやソリューションとともに、業界の発展やお客様のコンタクトセンターの改善につながる有益な情報提供を務めている。気がつけば日本の社員の中で勤続年数が最長となっていた。ジェネシス入社前は業界専門紙にて記者、販売、営業などを担当。ジェネシス・マラソン部、主将。